第4項より
「ヨーロッパ系とアメリカ系の違い」
ヨーロッパ系企業はアメリカ系と比較すると給与は若干低いが、従業員を日本と同様の雇用システムで遇しており、従業員を大事にし、定着率もアメリカ系よりよいといわれるが、筆者の見るところでは、これはかなり事実と違っている。
ヨーロッパ系企業は、一般的に給与レベルはアメリカ系より若干低めであるが、定着率はよくない。むしろアメリカ系よりドシドシとクビ切りを行う。
先日、スイス系金融関係企業に勤務する32歳の女性の山本さん(仮名)が転職のため、履歴書を持参し弊社を訪れた。英語も達者で上品な話しぶりだったが、このスイス系企業に数年間勤務していた有能な彼女の年収はたったの280万円と聞いて驚いてしまった。残業も多く、毎日夜8時まで働いているとの事であったが残業代も出なかったという。
「スイス版、ああ野麦峠!」
聞くと、このスイス系企業へは応募者が多いため、給与は過去ほとんど上がらず、会社のほうでは「いやならいつでも辞めてくれ」との態度だそうだ。
また、あるヨーロッパ系銀行の場合、日本人ヴァイスプレジデント(課長クラス)7名のうち3名は2年契約の契約社員であった。ところが契約期間終了前にもかかわらず、会社の業績悪化を理由に解雇されている。
また、あるヨーロッパ系大手電機メーカーでは給与が日本の電機労連並みで定着率が悪く、時折り入社してくる日本人技術者もすぐ辞めてしまうので、ユーザーである日本企業からの技術問い合わせなどには、そのつど本国に連絡しなければならず、ユーザーのほうでは困り果てている。
一般的にヨーロッパ系日本法人のヨーロッパ人トップ層はプライドが極めて高く、その下で働く日本人は客先の要求と、ヨーロッパ人トップの間に入って苦労するケースが多い。
余談になるが、筆者自身、このプライドにはドイツ系企業の中で相当苦しめられた。客からの製品に対するクレーム(苦情)に対し、本社に詳細データとともにファックスするのであるが、1〜2回の連絡ではたいてい何も言ってこない。4回くらいプッシュして初めて連絡してくるのだが、その返事の内容は決まっていて「我が社の製品は優秀だから、こんなことは起こりえない」というものである。
筆者はこの”プライド”を「煮ても焼いても食えない残留放射性廃棄物」と名付けたものである。
かって、あるヨーロッパ系メーカーが日本の一般誌に掲載した製品広告で「一生懸命仕事する人ほどよく遊ぶ。そのような国の製品です」と書いているのを見た。ヨーロッパ人の仕事に対する執着心のなさを日頃から見ている筆者は、この広告を見てつい吹き出しそうになった。
ヨーロッパの企業と何らかのかかわりを持ったことのある人だったら、筆者と同じ感想を持ったに違いない。
アメリカ人の場合も日本からのクレーム(苦情)に対しすぐ返事をくれるわけではない。しかし「それが将来のビジネスにとって非常に重大なことだ」との認識を持てば、最後にはやってくれる度量を持っている。これはヨーロッパ系と大きな違いがある。
またアメリカ人上層部の場合、日本人同様ハードに仕事する人を見受ける。よいものはどこの国のものでも吸収しようとするフロンティアスピリットを持っている人もいる。このあたりがアメリカ系企業再生のポイントだったのかもしれない。 |