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転職ビッグバン
転職で適格な判断、決定が出来る様に!!外資系企業への転職を身近なものに!
リストラなんてぶっ飛ばせ!! この本をホームヘッドハンターとしてご活用下さい!


 
出版社 山下出版
定価 1,400円
著者 伊地知峻六
(潟_イナミックサーチ
代表取締役)

−目次−

第一章 転職の世界とヘッドハンティング
第二章 インターネットによる転職
第三章 転職に成功する為のノウハウ
第四章 外資系企業の実情分析と転職
第五章 転職の世界で見る日本人の真の姿
第六章 七転び八起きの筆者の転職奮闘記
第七章 男一匹、一度は起業家を目指せ!
     サラリーマンのままで一生を終わるな!!

あとがき

 
 
 

 


転 職 ビ ッ グ バ ン

第4章「外資系企業の実状分析と転職」

■ 第1項 「日本における外資系企業」
■ 第2項 「年齢から見る外資系企業の給与システム」
■ 第3項 「外資系企業の一般的な雰囲気」
■ 第4項 「ヨーロッパ系とアメリカ系の違い」
■ 第5項 「外資系企業の長所」
■ 第6項 「三割実力主義の外資系、一割実力主義の日系」
■ 第7項 「外資系企業も採用時は学歴にこだわる」
■ 第8項 「外資系企業のトップは日本人が好ましいか」
■ 第9項 「外資系企業でのトップ交替」
■ 第10項 「日本で働く外国人トップ層の待遇と日本人社員との差」
■ 第11項 「日本に外資系企業が根を下ろすには時間がかかる」
■ 第12項 「日本の外資系企業トップの権限及び内部昇進」
■ 第13項 「日・米・旧西独の技術者転職についての比較」
■ 第14項 「年収2,800万円の外資系企業の営業マンが登録」
■ 第15項 「外資系企業では男女格差はかなり小さい」
■ 第16項 「出戻りに比較的寛容な外資系企業」
■ 第17項 「とくに外資系企業では自分の意見は正々堂々と主張しよう」
■ 第18項 「ドイツ系企業での出来事」
■ 第19項 「自浄作用が働きにくい外資系企業」
■ 第20項 「企業の売買が日常茶飯事の外資系企業」
■ 第21項 「ドイツ系企業に入社してきた新入社員」
■ 第22項 「アメリカ系企業でのリストラの例」
■ 第23項 「韓国系という外資系企業」
■ 第24項 「外資系金融関連企業は別世界」

 

 

第4項より
「ヨーロッパ系とアメリカ系の違い」


ヨーロッパ系企業はアメリカ系と比較すると給与は若干低いが、従業員を日本と同様の雇用システムで遇しており、従業員を大事にし、定着率もアメリカ系よりよいといわれるが、筆者の見るところでは、これはかなり事実と違っている。

 ヨーロッパ系企業は、一般的に給与レベルはアメリカ系より若干低めであるが、定着率はよくない。むしろアメリカ系よりドシドシとクビ切りを行う。

 先日、スイス系金融関係企業に勤務する32歳の女性の山本さん(仮名)が転職のため、履歴書を持参し弊社を訪れた。英語も達者で上品な話しぶりだったが、このスイス系企業に数年間勤務していた有能な彼女の年収はたったの280万円と聞いて驚いてしまった。残業も多く、毎日夜8時まで働いているとの事であったが残業代も出なかったという。

「スイス版、ああ野麦峠!」

 聞くと、このスイス系企業へは応募者が多いため、給与は過去ほとんど上がらず、会社のほうでは「いやならいつでも辞めてくれ」との態度だそうだ。

 また、あるヨーロッパ系銀行の場合、日本人ヴァイスプレジデント(課長クラス)7名のうち3名は2年契約の契約社員であった。ところが契約期間終了前にもかかわらず、会社の業績悪化を理由に解雇されている。

 また、あるヨーロッパ系大手電機メーカーでは給与が日本の電機労連並みで定着率が悪く、時折り入社してくる日本人技術者もすぐ辞めてしまうので、ユーザーである日本企業からの技術問い合わせなどには、そのつど本国に連絡しなければならず、ユーザーのほうでは困り果てている。

 一般的にヨーロッパ系日本法人のヨーロッパ人トップ層はプライドが極めて高く、その下で働く日本人は客先の要求と、ヨーロッパ人トップの間に入って苦労するケースが多い。

 余談になるが、筆者自身、このプライドにはドイツ系企業の中で相当苦しめられた。客からの製品に対するクレーム(苦情)に対し、本社に詳細データとともにファックスするのであるが、1〜2回の連絡ではたいてい何も言ってこない。4回くらいプッシュして初めて連絡してくるのだが、その返事の内容は決まっていて「我が社の製品は優秀だから、こんなことは起こりえない」というものである。

 筆者はこの”プライド”を「煮ても焼いても食えない残留放射性廃棄物」と名付けたものである。

 かって、あるヨーロッパ系メーカーが日本の一般誌に掲載した製品広告で「一生懸命仕事する人ほどよく遊ぶ。そのような国の製品です」と書いているのを見た。ヨーロッパ人の仕事に対する執着心のなさを日頃から見ている筆者は、この広告を見てつい吹き出しそうになった。

 ヨーロッパの企業と何らかのかかわりを持ったことのある人だったら、筆者と同じ感想を持ったに違いない。

 アメリカ人の場合も日本からのクレーム(苦情)に対しすぐ返事をくれるわけではない。しかし「それが将来のビジネスにとって非常に重大なことだ」との認識を持てば、最後にはやってくれる度量を持っている。これはヨーロッパ系と大きな違いがある。

 またアメリカ人上層部の場合、日本人同様ハードに仕事する人を見受ける。よいものはどこの国のものでも吸収しようとするフロンティアスピリットを持っている人もいる。このあたりがアメリカ系企業再生のポイントだったのかもしれない。

 

 

第5項より
「外資系企業の長所」


 外資系企業の長所の一つは、やはり個人主義を尊重していることだろう。

 仕事がまったくないのに残業せざるをえなかったり、社員旅行や社内運動会まで半強制的に参加させられることはあまりない。有給休暇もあまり気兼ねせず取れる会社が多い。また、英語が上手ければ、時流に乗ってトントン拍子に出世し、30歳代後半で1国1城の主になれるのも外資系企業ならではである。

 日本の外資系企業では、たいていローパーティションで仕切られた部屋になっており、隣の人の顔は見えず落ち着いて仕事ができる。このようなところで一度勤務してみると二度と日系企業へは帰りたくない。

 以前、日経ビジネス誌にアメリカのソロモンブラザーズ本社に勤務する「明神」氏のプロファイルが出ていたが、彼の年収が30億円であるとの記事を読んで驚いた。日系企業ではどんなに実績をあげても、社員が社長の給料を上まわるなんて話は聞いたことがない。

 山一証券の倒産のとき、多くの山一の社員の方が転職相談にお越しになられたが、その頃、外国ファンドマネージャーの山岡氏(仮名29歳)が履歴書を持ってこられた。山一証券一社のみの勤務であるのに英語も相当できた。山岡氏は1400億円の運用資金を任され、毎年なんと20%もの運用益を出しておられるとのことだった。

 筆者はすかさず、「山岡さんのご年収は相当なものでしょうね」と尋ねてみた。そして驚いた。

「いや、私の昨年の年収は550万円です」

 ああビックリである。280億円も稼ぐ社員の年収がたったの550万円だと! 信じられなかった。テレビの前で泣いていた社長はこんなことを知らなかったのだろうか!

 (後略)

 

 

第6項より
「三割実力主義の外資系、一割実力主義の日系」


 (前略)

 外資系であれ日系企業であれ、人事評価システムはあくまでコンピューターのハードウェアであり、これらのコンピューターに間違った情報、即ち優秀な人間を無能とインプットしてしまっては何にもならない。

 このようなことが起こる可能性は、日系企業より外資系企業のほうがはるかに高いのである。

 これは外資系企業の職場内で、いわゆる自浄作用が働きにくいことによる。

 メーカー、商社系の外資系企業では、外国人トップが約半数を占めているが、とくに外国人がトップになると、急に日本人同士の足の引っ張り合いが多くなり、社内の雰囲気がすさんできて、外資系企業の実力主義がどこかにふっ飛んでしまう。そして優秀な者が職場を追われ、英語が上手く、外人にくっつくことだけが上手い”外資ゴロ”がトグロを巻く職場へと変わっていく。

 一度、職場がこのような雰囲気になると、トップ一人が変わったくらいではもとには戻らない。この手の外資系企業が案外と多いのである。筆者自身もこのような企業で実際に勤務し、激しい突風の吹き荒れるような、生きるか死ぬかの足の引っ張り合い、中傷合戦を体験してきた。

 このようなとき、外国人トップはただ「我関せず」と傍観するか、オロオロするだけである。

 あえて火中のクリを拾おうなどとは絶対にしないし、かえって日本人を見下すようになる。このような中では、ただまじめに仕事するだけの人は、真っ先に職場の土俵から放り出されてしまう。理性の働かなくなった職場では、仕事するよりまず”敵”を倒すことを第一に考えねばならない。

 外資系企業では、このような百鬼夜行の修羅場でも生きていけるような、ず太い神経を持っているかどうかも実力のうちなのだ。

 また、逆に日本人社長の下で、部下の日本人はやたらと解雇されていくのに、トップの日本人社長のみ10年以上の長期政権のところもある。この手合がまた多い。

 後述するように日本における外資系企業のトップは、経営方策や人事権において本社の上層部からあまり権限を委譲されていないケースが多い。したがって外資系企業では社長といえども本社のご機嫌を損ねたら簡単にクビを切られる。よって、売り上げが目標を達成できなかったときのために、責任だけ部下に委譲しておくのである。

 この辺の本社への”根まわし”は日本人の得意とするところであり、少し売り上げが下がるたびごとに誰かが解雇され、社長は安泰となる。つまるところ外資系企業の社長は、本社へはよくゴマスリしておき、責任は部下に押し付けておく必要があるわけだ。

 まかり間違っても本気になって部下の面倒を見ようなどと考えてはいけない。筆者はこれらの素顔から、三割実力主義の外資系、一割実力主義の日系企業と呼んでいる。

 


第9項より
「外資系企業でのトップ交替」


 外資系企業の日本支社長は、外国人の場合数年で任期を終え、本国から派遣された人間とバトンタッチするケースが多い。ヨーロッパ系の会社でも英語だけは十分上手い人間が来るので表面上のコミュニケーションに困ることはない。しかしながら、日本の商習慣や日本人のものの考え方などについては外国人によって書かれた書物でも読んでくれればよいほうで、まるで何も知らないと考えておいて間違いない。

 ただし専門分野だけはよく知っている。まず日本に新しく赴任してきた外国人支社長は、最初のうちは日本人の部下とコミュニケーションを密にしようとする。日本人の部下のほうもよく新入りの支社長の面倒を見るので、表面的には日本のことも案外と早く理解してゆく。

 一通り客先へも連れていき、名刺交換もし、寿司屋やテンプラ屋やカラオケにもせっせと連れていき、できるだけ早く日本の事情を理解させようと誰もが努力する。中には仕事はできないが、こんな仕事だけはピカ一という日本人もいる。

 問題はここから先である。こんなことを何回か繰り返し行ううちに一年もすると本人はすっかり日本の事情やビジネスがわかったと錯覚してくる。そして少しずつ日本人の部下にあれこれと指示を出すようになる。

 最初のうちは、日本人の部下のほうも少しぐらいピントのずれた指示をされても、従ったり従ったふりをすることで済む。だが、ピントが大幅にずれていたりすると、日本人の部下のほうも自分の実績に影響するので、「ハイ、そうですか」というわけにいかなくなる。そして問題が広がっていくのである。これが外資系企業での、ごく一般的なパターンである。

 問題が大きくならないうちに外国人の支社長が本国にでも帰ってくれて、また新入りの支社長が来て、寿司屋、テンプラ屋詣でとなればよいのだが、そう上手くはいかない。

 ここで欧米人特有のプライドが出てくる。日本人のマネージャークラスが一致団結し、日本での立場の特殊性その他を理解させようと少しずつ努力してゆけばよいのだが、そこは外資系企業の悲しいところで、ここで自分だけ”いい子”になろうとする外資ゴロがボウフラのようにわいてくる。

 このようなドサクサの中で、有望な日本人が外国人の支社長に追い出されてしまった例を筆者はいくつも知っている。

 最悪のケースとしては、支社長が帰国したのち、外資ゴロが支社長に気に入られて、次の支社長にそのままおさまったというアメリカ系メーカーの場合もある。

 

 

第11項より
「日本に外資系企業が根を下ろすには時間がかかる」


 外資系企業の中でも日本にすっかり根を下ろし、長年活動している大手の会社は、それなりに組織が、がっちりしていて社内のヒエラルキーもしっかりとでき上がっている。

 たとえば、日本IBMや日本ヒューレットパッカードのような外資系企業は、日系大手企業と比較し、給与等の待遇面は少しも遜色なく、従業員の定着率も比較的によい。

 日本IBMは、かつて大幅なリストラを行い、多くの社員が早期退職優遇制度のもとで辞めていったが、その際最高年収2年分の追加手当を支給している。

 この2社とも採用にあたっては新卒採用と中途採用をバランスよく行っており、これらのことを総合的に見ると、外資系企業のよい点と日系企業のよい点がうまくプラスされているように思う。

 日本に進出している外資系企業が成長してゆくための絶対必要条件として、筆者は次の二点をあげたい。

  (1)本社の経営層が優れていて、日本の商習慣を理解しつつ日本の子会社を発展させようとの強い
    意気込みが感じられること。

  (2)日本の子会社の社長が有能であること。

 このほかに日本市場に投入する製品が、性能、価格面で競争力を持っている必要があるが、これは副次的で当然のことである。実際に外資系企業に勤務してみると、この(1)の本国の経営層、(2)の日本の社長の両方ともが有能である外資系企業があまりないのではないかと、つい思ってしまう

 しかし、日本IBMも日本ヒューレットパッカード、日本オラクル、マイクロソフト、ロックウェル、日本AT&T等々、(1)(2)をともに満たし、日本市場に完全に根を下ろし、活動している外資系企業も多いのである。

 しかしながら、本国の経営層、日本の社長とも優れた陣容で、初めて日本市場に進出してきても、日本支社が完全に日本市場に根を下ろすまでには、やはり10年以上の年月がかかるようだ。

 ここで日本に進出して間もない従業員20名規模のアメリカ系企業の紹介をしよう。

 この外資系企業の日本人社長H氏はかなりワンマンで、いわば“準外資ゴロ”的人物であった。部下の日本人社員が、ある日一致団結し、アメリカ本社の社長宛にH氏の無能さを訴え、どうにかしてくれるよう手紙を書いた。ここまでは外資系企業ではよくある話である。ところがアメリカ本社の社長は、あろうことかその手紙をそのままH氏に送り返してきたのである。当然直訴に及んだ何名かは会社から追い出されてしまったという笑えない悲喜劇となった。“敵もさるもの”このH氏はアメリカの社長だけはしっかりと掌握していたのである。

 外資系企業では本社の経営陣が何を考えているか、なかなかわかりにくいところもある。本国の経営陣、日本の社長、日本の社員の三者の間に信頼関係ができ上がり、同じベクトルで仕事ができるようになるまでには、やはり相当の期間がかかるようだ。

 

 

第13項より
「日・米・旧西独の技術者転職についての比較」


 図表19は、日本、アメリカ、旧西独の技術者について転職経験等を比較したものであるが、これを見るとアメリカの技術者と旧西独の技術者も同じように転職回数が多く、日本の技術者のみが転職をあまり行わないという結果が出て面白い。豊臣家、織田家、三菱家、日立家に忠誠を誓おうという考えは日本の技術者だけにいえることのようだ。

アメリカではたとえ技術者、研究者でも将来会社のトップとして経営に参画したいと考えており、同時に一つの会社に対する忠誠心など持ってないことがこのデータからもわかる。

 

第14項より
「年収2,800万円の外資系企業の営業マンが登録」


 昨年、アメリカ系電気関連メーカーの営業マンで34歳の江藤氏(仮名)が登録のため履歴書、経歴書を持参してこられた。履歴者を読んでいると昨年の年収が、なんと2,800万円と書いてある。

 すかさず「2,800万円も年収があるんでしたら、何も辞めることはないでしょう」と
尋ねてみた。すると江藤氏は転職したい理由を次のように説明してくれた。

 「私の給料は固定給33万円のみなんです。ほかにボーナスはまったくありません。これで年収約400万円になりますが、それ以外はすべてコミッションです。この年収がこれからも維持できればよいのですが、その可能性はまったくありません。確かに私の会社には東京都の長者番付に名を連ねた人もいますが、業界の競争が激しく、二、三年後には会社の売り上げも落ちてゆくと思います。この会社に入社して三年目。いままで必死に働いてきましたが、もうこれ以上は体力的にも限界です。今年は年収が大幅に落ちそうです。年収700万円くらいでもいいですから、どこか落ち着いて仕事できるところを紹介してください」

 これまでの江藤氏の実績は大いにアピールして、転職先を見つけることができた。

 江藤氏がいた会杜では一人の営業マンが高収入を得る裏で、その何倍もの社員が辞めていた。また、入社した翌日には、もう来なかった社員もいると江藤氏は教えてくれた。

 平成10年になって、この会社から求人依頼が来た。求人内容の詳しい説明のために、人事部より呼び出しを受けて行ってみた。人材紹介会社を一堂に集めての説明であったが、アメリカ人の若い20代から30代とおぼしき幹部社員数名が、製品内容から業界内の位置付け、将来性、それに詳しい求人依頼の内容等を二時間ぐらいかけて説明してくれた。

 最後に、日本語の流暢なアメリカ人の女性人事部長から社員の待遇について説明があったが、確かに日本人社員は一部の役員を除いてほとんどすべて固定給400万円のみであり、ほかはコミッションであった。人事部長は誇らしげに説明を続けた。

 「営業マンの半数以上は年収1,000万円以上です。よろしくご紹介お願いいたします」

 江藤氏の話の中にあった、一人の営業マンが年収1,000万円以上に達する裏には、その何倍もの営業マンが辞めていっていること、社員の離職率が極めて高いことについてはふれられなかった。

 考えようによっては、この会社はかなり実力主義といえるかもしれない。払ってくれる給与は会社でキチンとしたシステムができ上がっており、上司のサジ加減はまったく入り込む余地はないとのことだった。この会社のアメリカ本社でのアメリカ人営業マンが同じような給与システムであるのか興味が持たれるところであるが、おそらくまったく異なるであろう。固定給が少なくコミッションの割合が大部分を占めることはないだろう。

 このとき説明してくれた20〜30代とおぼしきアメリカ人幹部社員の晴れがましい、自信にあふれた表情と江藤氏の表情は、そのまま日本における外資系企業の現実を表しているようにも思った。

 ここで比較のため、ある日系証券会社の営業マンであった山本氏(仮名・三七歳)のケースを見てみよう。

 山本氏は日系証券会社に転職して四年目、相当なやり手で営業の方法も自分白身のやり方を持っていて、年収は2,200万円ぐらいとのことであった。給与についてはコミッションはあるが、同じ業績を上げても上司のサジ加減でかなり変わり、もらってみるまでわからないそうである。

 また、業績を上げると杜長賞等の金一封ももらえるとのことだった。

 山本氏は、自分の営業能力をさらに飛躍させられるようなキャリアアップの転職を求めて登録にこられた。とくにいま辞めなければならない理由はないので、いいところが見つかるまでじっくり待ちますと語っておられた。

 ノルマに追いまくられる証券会社の営業で、この金融不況の中でここまで実績を上げてこられたことは賞賛に値すると思うし、またそれなりの努力をしてこられたようである。

 この日系企業の山本氏と外資系企業の江藤氏を比較した場合、どちらがよりハッピーであると結論付けることはできないが、一つだけ言えることは、外資系企業の場合「外国人による経営方針により運営されること」という不確定要素がマイナス面に働くことだけは確かであるということだ。

 

第15項より
「外資系企業では男女格差はかなり小さい」


 外資系企業の大きなメリットの一つは女性を積極登用することだろう。日本の会社では到底考えられないような登用のケースがかなりある。

 筆者は、人材紹介業を営む過程で多くの外資系企業の人事担当者と接触しているが、人事のマネージャークラスで、多くの有能な女性の方が活躍しておられる。

 ある専門学校卒のアメリカ系エレクトロニクスメーカーに勤務しておられる32歳の有能な女性マネージャーSさんをスカウトし、アメリカ系半導体メーカーN社へ紹介したときのことである。

 N社のほうでは当初マネージャークラスは採らないとのことであったが、筆者のたっての要請で渋々インタビューした人事課長及び現場担当者は、その後、社内の人事移動までしてSさんのためにポジションを作り迎え入れてくれた。このようなことは日本の企業ではありえないことであろう。

 しかしながら外資系企業を希望される女性の方には、単に英語が話せるだけの"英語屋さん"のケースも多い。自分自身の専門知識をしっかりマスターした上での流暢な英語使いになってほしいものだ。

 ちなみに、外資系企業の経理スタッフの8〜9割は女性社員で、外資系企業全体の約半数で女性経理マネージャーがおられる。

 外資系企業では・男性社員は女性社員に対して十分に気を遣って行動しなければならない。実力主義の世界ではいつ何時、年下の女性マネージャーの部下になるかもしれないからだ。

 

第16項より
「出戻りに比較的寛容な外資系企業」


 外資系企業では、一旦退社した会社に再度入社してくるケースが結構ある。

 優秀な人材であれば、他社からスカウトされて当たり前、スカウトされる側の企業もそこは割り切って「おめでとう、次の会社で頑張ってください」という気持ちになるのだろう。

 ところが、たとえ優秀な人材でも転職先にしっかり根付いて成功するとは限らない。やはり人間関係等いろんな問題にぶつかって上手く転職先になじめず、悶々と仕事される人もおられる。

 このようなとき、転職する前の会社の上司に相談したら、「そんな会社だったら戻ってこい。前と同じ条件で席を作ってやろう」と言われて帰るというケースが案外と外資系企業では多いのである。

 このように一旦退社した会社に、同じようなポジションで帰ったなどというケースは日系企業ではほとんど聞かない。日系とりわけ大手企業では、辞めてゆく社員は"脱落者""脱藩者"扱いされることが多い。日本特有のムラ社会の残津が色濃く残っているのだ。

 退職した前の会社に同じレベルのポジションで帰ったケースとしては、アメリカ系ハイテク関連企業の人事部長のケース、金融関係の若手営業課長のケース、半導体関連企業の人事課長のケースなどがあるが、この半導体関連企業人事課長の場合、出戻り再入社後一
年して人事部長に昇進されたのである。

 日本企業もこれからの人材流動化の中で、退職していったのち本人がその能力に磨きをかけ、さらに成長したのであれば、再度自社にスカウトするくらいの度量があってよいのではなかろうか。この辺のところからでも日本企業の国際化を少しずつ推し進めたいものである。

 

第17項より
「とくに外資系企業では自分の意見は正々堂々と主張しよう」


 このことについては、すでにふれたが、外資系企業ではとくに重要である。自分の意見、考え、主張はつねに頭に入れておき、いつどのようなときでも、できたら英語で発表できるようにしておこう。

 欧米人、とりわけアメリカ人が日本に来てよく指摘することであるが、「自分の考えを述べなさい」と言われたとき、言わない、言うことが出来ない、たとえ言ってもすぐぼかしてしまう日本人が多いのである。

 筆者が数年間ヨーロッパに駐在し帰国したときも、何かしら同じようなことを感じたくらいだから、アメリカ人が日本に来て日本人に会うとすぐ感じることだろう。

 最初の一〜二回は、日本人はなんと奥ゆかしい物静かな人間、と思うかもしれないが、しばらくするとバカではないかと思うようになる。

 さらに、まれに指摘されることであるが、ミーティング等の席上で日本人は自分では主張しようとせず、まず相手に主張させ、その主張を批判攻撃することによりリーダーシップを取ろうとする。また、話すことがないと、ただ「ニタッ」と笑ってごまかそうとする。この”ニタ笑い”は織田信長の時代、日本に宣教師として来日し布教活動を行っていたルイス・フロイスにも指摘されている。

 このようなところにも、日本人が国際舞台で主演男女優として活躍できない理由があるのだ。

 欧米人と酒を飲んでいると、よく彼ら特有のジョークが飛び出してくる。最初の内はこのジョークがわかりにくいのである。英語での掛け言葉もあれば、その土地の習慣、歴史をジョークにしたものもある。また政治を諷刺したもの、さらには下ネタまで実に幅広い。日本人にとってジョークの世界は不慣れな別世界だが、これがわかり始めるとまた面白くなってくる。あらためて申し上げるが、外資系企業では雄弁は金、沈黙はドロップアウトである。

 

第18項より
「ドイツ系企業での出来事」


(前略)

 ここで、かって別のドイツ系機械メーカーに勤務しておられて、筆者のところに登録にこられた営業次長M氏の例を紹介しよう。

 一通り、履歴書、職務経歴書等をいただき、話を聞いたが、いま勤務しておられるドイツ系会社のオフィスのレイアウト(下図)を聞いて驚いてしまった。

 筆者はこれまで、この会社からの依頼でサーチ活動を行っており、若干の認識はあったのであるが、ここまで極端な会社とは知らなかった。

 このレイアウトを見るだけでどのような会社か想像が付くと思うが、ドイツ人はご主人様、日本人は使用人の考えがよく表れている。

 筆者の場合もそうだが、一旦このような会社でも入社してしまうと、最初は驚くがすぐ辞めてしまうわけにもいかないので、あまりうしろ向きに考えないようにして上司であるドイツ人の言う通り必死に働き始める。すると、長期間たつうちに、「ドイツ人様々」「外国人様々」という感覚が身に付いてしまうのである。

 この感覚は、中途でドイツ系企業に入社した筆者も同様だったが、学校卒業後直接入社した人たちはひどかった。

 権力者に迎合しやすい日本人であれば、この辺のところから会社の雰囲気が悪くなってゆき、最悪の場合”外資ゴロ”がわいてくる遠因となるのである。

 したがって外資系企業に入社する場合、会社の選択には十分注意しなければならない。しかし、外資系企業に勤務する友人、知人に聞いても自分の現職の会社の悪口はなかなか教えてもらえないものである。このあたりの業界事情は経験の長い有能なヘッドハンターに聞くべきであろう。

 

第19項より
「自浄作用が働きにくい外資系企業」


 (前略)

 日本に赴任してきた外国人経営者は企業文化の違い等から始めはピントのはずれた指示をしてくるものである。

 しかし指示があまりにも常軌を逸脱し、日本人をバカにしたようなことであれば、当然日本人の部下はすんなり従わないであろう。その指示を正しい方向に変えさせようと努力をするであろう。

 ところが悲しいことに、外資系企業に勤務する日本人には、このような自浄作用がしばしば働かないのである。もう少し正確に言うと、個人レベルではほとんど誰でも正しい方向にいってほしいと思っている。そして時折り行動に移す人もいる。ところが、このような言動、行動は外国人上層部によってではなく、まわりの日本人によって叩かれ、しまいには退職に追いやられてしまう。

 このようなとき、自浄作用が働く方向にゆくケースもあってよさそうなものだが、日本人がマジョリティーの組織では絶対によい方向にはゆかないのである。

 似たようなことは日系企業でもあるが、外資系企業では、さらに自浄能力が働かない。そしてその大きな原因は、日本人自身の自浄能力の欠如にあると申し上げたい。

 

第22項より
「アメリカ系企業でのリストラの例」


横浜にある従業員100人程度のアメリカ系エレクトロニクス関連メーカーM社のリストラの話しであるが、ある日突然日本人人事部長から35名程度の従業員に横浜駅近くのホテルに集合するよう指示があった。この会社は社長も日本人であり、外国人は時折りアメリカ本社から出張してくる社員以外はいなかったが、-指示される通りホテルに行ってみると、アメリカ人も二名同席していた。

このとき呼び出された三五名は、首切りの宣告のために集められたもので、いきなり解雇のための条件提示があった。その内容は通常の会社都合退職金にプラスして、たったの3カ月分を支給するというものであり、しかも翌日の4時までに承諾書にサインした人のみ適用され、サインしなければ即解雇とのことであった。

2人同席していたアメリカ人のうち一人は、何と無許可の人材紹介会社を千代田区で10年以上営むN氏で、N氏は全員に自分が責任を持って再就職させるから、ただちにサインするよう催促したとのことである。

さて、このようなとき日本の大手企業ならば、35名の人たちはどのような行動に出るものだろうか。組合のある・なしにもよるだろうが、はたしてすぐサインして3カ月の手当で解雇に応じるものだろうか。
この会社の場合、とても信じられないことが起こったのである。なんと35名全員があっけに取られながらも解雇に同意し、サインしたのである。中には50歳を過ぎた人もいたが、たいていは働き盛りの30代であった。

一人くらいは裁判所に訴え出て闘おうとする勇気のある人はいなかったのだろうか。

この短いドラマは、日本で働く外資系企業従業員の姿をそのまま表している。とくに注釈は必要ないであろう。日頃は同僚の足を引っ張り、中傷し、白人上司にべったりの日本人が、ある日同じ白人上司にクビを宣告され、何一つ文句を言わず従っていく。まことにもって哀れな日本人の姿がここにあった。

話は変わるが、筆者がドイツ系企業に勤務していたときのエピソードを一つ紹介しよう。ある日、日本人の総務課長が新しく導入された退職年金制度について日本人全員を会議室に集めて説明してくれた。

この頃、日系大手企業も退職金制度とともに退職年金制度の導入を始めており、筆者も初めはドイツ系企業にしては気の利いたことをやるなと思っていた。

ところが、説明し始めてしばらくよく聞いていたら、何と退職金をただ分割し、無利子で遅配するだけのシステムであった。ここでもやはりドイツ人上層部の日本人をバカにした態度がうかがえる。それより何にもまして許し難いのは、はっきりと我々日本人をバカにしたこのシステムを真剣になって説明している日本人総務課長の見識である。さらには、これをまじめに聞いているまわりの日本人従業員の見識も疑わざるをえない。筆者はこのとき、まわりの日本人の顔がカボチャに見えた。

 
 

第一章 転職の世界とヘッドハンテイィング 第二章 インターネットによる転職
第三章 転職に成功する為のノウハウ 第四章 外資系企業の実績分析と転職
第五章 転職の世界で見る日本人の真の姿

第六章 七転び八起きの筆者の転職奮闘記

第七章 男一匹、一時は企業家を目指せ! あとがき
転職成功者からの手紙  
 
 
 
 
 
 
 
   
 

 

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