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あとがきより
この本は、初めから一つの結論を持って書いたものではない。
しかしながら、転職の世界の矛盾、サラリーマン社会の矛盾を深く掘り下げてゆくうちに、本書を書き終える頃には一つの結論に到達してしまっていた。
サラリーマンであるうちは、どんなに努力しても複雑な人間関係から抜け出すことはできない。抜け出す道は唯一自分で会社を起こし一国一城の主になることである。 そして「一国一城の主に早くなってしまいなさい」というのが本書の結論となった。
第6章の最後に「日本人はサラリーマン向きにできている」と書いた。日本のサラリーマン社会は極めてドロドロしており、まるで汚物の泥海の中で泳いでいるようなものである。 起業しただけで、サラリーマン社会で苦労した分、心の中は大企業のオーナー社長の気分になる。まるで清涼で静かな谷川で一人で思う存分泳いでいるような気分になるのだ。
先週のテレビ番組の中で、アメリカのシリコンバレーの起業家を援助し育てるインキュベーター(”ふ卵器”の意味)について詳しい説明があった。
資金的に余裕のない人たちに場所、設備、資金を援助するシステムができており、ここでもよいことをすぐに先取りするアメリカ人の気概を感じたものである。このようなことは、 自分で起業することが不得意な日本人にはとくに必要なものではなかろうか。
日本では起業しようとしても、周囲の無理解や失敗したときの事情等を考え、おいそれと踏み出し切れないのである。起業することに理解のあるアメリカでは、たとえ失敗してサラリーマンに戻っても、 社会は寛大である。起業家に理解が無く、転職市場の整っていない日本では、容易に起業に踏み切れない。
最近の失業率は4.3%に達しているが、日本の失業率は大本営発表であり、アメリカで発表している統計方法によると、すでに日本はアメリカ以上の失業率になっていると思われる。 今回の不況は極めて深刻であり、回復の兆しはまったく見えない。これからは日本の雇用システムをいままでの疑似終身雇用から、より実情にマッチしたものに切り替えていかざるを得ないであろう。
それまで企業はリストラのやりたい放題、リストラにあった人は中途採用者を差別する社会システムの中で勝手に仕事を探してきなさい、ということになる。 これでは世界第二位の経済大国としてはあまりにも無責任である。
筆者が大学を卒業した昭和40年頃は、企業の会社案内に「弊社は終身雇用です」とうたっていなくても、社会通念として、まじめに働いていればすぐクビにはならないという認識を誰でも持っていた。
しかし、昨今は企業側の論理でもって、40代になると本人の意思とはまったく無関係に、勝手にリストラ候補にあげられ、追い出されてしまう。企業側の論理で「会社が存続してゆくためにはどうしてもリストラが必要である」 というのであれば、また、この不景気の中、これからもドシドシ、リストラされ解雇された方が大量に送り出されてくるのであれば、これらの人々を暖かく迎え、再就職に手を貸してあげることが必要である。
筆者は、このために公的就職斡旋機関や民営人材紹介所を充実すべきと思うが、それよりも、まず第一にやらねばならぬことは中途採用者への差別をやめさせることだと信じる。
さらにまた、日系大手財閥企業といえども、リストラはやるが中途採用は行わないなどという身勝手をやめさせ、転職市場をよりオープンにし、拡大すべきである。
さらには、新参者をすぐに差別し、ムラ社会を作ろうとする日本人の偏狭な島国根性を義務教育レベルから矯正し、正々堂々とオープンに発言する日本人に脱皮させていく必要があると思う。
いまの日本での転職は、まず転職先を見つけることからして困難であり、たとえ首尾よく転職に成功しても、そこは百鬼夜行の世界である。
転職経験者が少しずつ多くなってゆくことは、日本人の組織依存体質、権力崇拝思想を少しずつ取り除くことになろう。そして、弱者をおもんばかり、権利意識に目指める方向に少しずつ変化していくことと思う。
さらに、国際的な視野で考え、発言し、行動する人々が増加してゆくこととなろう。この本についての感想、ご批判等をいただければ幸いです。
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